仕事をするうえで、言語能力はとても重要です。連絡を取り合うことはもちろん、業務そのものにも、微妙な調整が必要とされることが多いもの。失語症は、ニュアンスで会話したり、伝えたりが難しいため、それぞれの障がいに応じた支援と働き方が必要です。
失語症とは?
失語症とは、言語障害のひとつで、「聞く」「話す」「読む」「書く」といった作業が上手くできなくなる障がいです。聞くことに関しては、音や声であることはわかっていても、「言葉」や「会話」として理解できなかったり、早口や長い話になると理解できなかったりすることがあります。
話すことに関しては、伝えたいことがうまく表現できなかったり、発音や単語の選択がうまくできなかったりと、その症状は人によってさまざまです。
運動性失語(ブローカ失語)・・・ 会話を理解することはできるが、自分からは上手く話せない。読んで理解はできるが、自分で書くことは難しい。
感覚性失語(ウェルニッケ失語)・・・会話を理解するのが難しく、言葉を話せても、内容が盛り込めないことがある。読む・書くが困難。
健忘性失語(失名詞失語)・・・話す、会話を理解するはできても、言葉をうまく思い出せず、考えていることを言葉で表現するのが困難。
伝導失語 ・・・話す・聞いて理解するは比較的問題ないが、複唱など、同じ言葉を繰り返すことが困難。
職場における失語症の方へのサポート
失語症の方の場合、口頭での注意や指示、連絡がうまく伝わらない、本人からうまく質問ができない、メモで伝えることができないなどといった問題が生じます。
失語症の方に、なにかを伝えたい場合は、表情でよくわかるようにし、ゆっくりと、簡単な言葉を使って、必要であれば、同じ内容を繰り返して伝えるようにしてください。
また、危険なものや、指示書、マニュアルといったものが、文章だけで理解できない場合は、写真やイラスト、ジェスチャーなどを使うと円滑に業務を進められます。微妙な調整が必要なことや、危険が伴う作業からはなるべく遠ざけ、こまかな声かけをして、都度、確認を行いましょう。
医療機関とも連携すれば、積極的な雇用も可能!
先に紹介した通り、失語症にもさまざまな種類があります。また、個人によってもその程度はさまざまです。
職場の人間が、理解しようと努めることももちろん大切ですが、医療機関や就労支援機関の専門家とよく話し合い、可能であれば講習会などを開くのもひとつの手です。
営業職で働いていたとある男性は、失語症のために現場復帰が難しくなりました。しかし、職場復帰支援の経験が豊富な医療機関から、医師、言語聴覚士、心理士、作業療法士などの専門家が参加した話し合いを通し、会社としての配慮や、適切な作業環境を整えてもらうことができました。その話し合いには、所長や部長といった、職場での決定権を持つ人間が参加したことも大きく、いまではパソコンの入力作業という仕事で、復職・定着できているようです。
失語症といっても、コミュニケーション方法を工夫すれば、円滑に仕事が行えるケースがほとんどです。企業は、ジョブコーチなどの支援を受けることもできますので、専門家のアドバイスを参考にして、失語症の方への、積極的なサポートに取り組んでいきましょう。
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。