こんにちは。オフィス温度28℃の梶原です。
先月より、精神障がいを持つ人の雇用についてのお話をスタートしました。
先月は、ハローワーク主催の合同面接会などへ参加し、まずは出会いの場を持つことが大切、というお話をしました。(前回記事:精神障がいを持つ人の雇用 )
今月は、主に採用選考の場で役立てていただければ、という観点でお話を進めていきたいと思います。
先月号の繰り返しにはなりますが、精神障がいを持つ人の「働く力」は、個人差が大きいので、障がいの種別だけで判断するのではなく、一人ひとりと向き合って判断をすることが大切です。
そのために、合同面接会などの場を使って、応募書類だけで判断するのではなく、できるだけ多く直接会うことをお勧めしました。
その上で、今月号では、応募書類をどういう観点で見るか?そしてその後の人事面談時に大切なことについて、お話します。
まずは応募書類を見る際の留意点です。
社会人歴のある応募者の場合は、職務経歴書上で、短期間での転職回数が多いかどうか、に注目します。具体的には、1年間に2回以上の転職が複数回(複数年)あった場合は、転職の理由や背景を注意深く読み解くことが肝要でしょう。
障がいを持っている人にとっては、過去に入社した企業が障がい者雇用に慣れておらず、サポート体制が整わないことが理由となって退職を選択せざるを得なかったというのはよく聞かれる話です。
こうした話を具体的に詳しく聞くと、ご本人に大きな非はなく、主に企業側に課題があった、というケースが多々あるのも残念ながら事実です。
ですが、企業側の課題が原因となった転職が何度もあるとなると、その人自身の持つ個人の特性についても、次のポイントで注意が必要です。
【1】転職する際に、企業側の支援や業務サポート体制について事前に充分確認するというプロセスを経ないで入社を決めてはいないか?
→良い雇用条件に惑わされず、永く企業に属し、その事業に貢献したい、という思いを持って企業選びをしている人ですか?
【2】自身の障がいや業務スキルについて、客観的な判断ができているか?
→入社前の選考の段階で、自身の障がいに対して求める配慮や、PC/実務スキル等について正確に捉えており、企業側に客観的に伝えられている人ですか?
【3】不具合や不都合なことがあったときに、それを自分の力で改善しようとする姿勢があるか?
→新しい環境に入ったら、何もかもがスムーズにいくことはまずありません。問題があれば、それをどうしたら改善できるかを他力だけでなく、自力でも考え、そして行動する人でしょうか?
書類上では上記のポイントをすべて見極めることは難しいので、その他の業務スキルや通勤に利便性がある、などの観点で魅力的だと感じる方であれば、お会いして話を聞くことをお勧めします。
そして、面接に進んで頂いた際には、ご本人の話す内容に納得感があるかどうか?を見極めましょう。
おそらくこの手の話を深く聞くには、一往復の質問と回答だけでは足りません。回答に対して、言葉に気を配りながらも、更に踏み込んだ話を聞いていくことで、人事のご担当者自身が納得できる(採用の要否を見極めることができる)まで聞いてみることが大切です。
自社でも同じことが起きないか?自社であればどんな対応策が打てるか?などを想像しながら話を聞くこともお忘れなく。
「こんなに色々踏み込んで聞いてしまっていいのか?」
という心配をされる人事担当者の方もいらっしゃるかもしれませんが、お互いにとって「よかった!」と思える出会いにするためには、事前の確認は欠かすことのできないステップだと思います。
私が人事担当だった時、私の面接は長くて、しつこくて、そして暑苦しかったと自認しています(苦笑)。
それでも、その面接によって、入社後に「こんなはずじゃなかった・・・」というギャップは少なかったのでは、とも感じています。
お互いに良い出会いにするための事前のコミュニケーションは、無用な遠慮をせずに、誠実に、愚直に行うことが肝要ではないでしょうか?
来月も引き続き、精神障がいを持つ人の雇用について、お役に立ちそうなお話を続けていきたいと思います。
梶原 温美(かじはら はるみ) オフィス温度28℃代表。 専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。 「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。 問い合わせ先 Start Next!運営事務局 startnext@start-line.jp |
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。