ロクイチ報告前に確認、常用労働者数の範囲はどこまで??

この記事のポイント

  • 正社員の数≠常用労働者数
  • 出向社員、海外勤務社員、外務員、役員は?
  • 育休、産休を含む休職者は?

障害者雇用納付金・調整金に関する申告は高齢障害求職者雇用支援機構へGW明けの5/16までに提出しなければなりません。また、障害者雇用状況(6/1時点)報告は本社管轄労働局へ7/15までに提出しなければなりません。いずれの手続きにも計算分母としての「常時雇用している労働者の数」の把握が必要です。

今回のテーマはこの「常時雇用している労働者の数」です。

「常時雇用している労働者の数」について人事Q&Aサイトなどで調べたところ、間違った情報に行き当たることもありましたので、改めておさらいをしてみます。

まず、当然正社員の数はカウントされます。それでは他の雇用形態である、パート・アルバイト・契約社員・嘱託社員はどうなるのでしょう?

実は、これら雇用形態は「常時雇用している労働者の数」のカウントと関連性がありません。雇用形態に関わらず「一年間を超える雇用実績、または雇用見込みがあるかどうか」によって判断することになります。

この見解につきまして東京・神奈川・埼玉労働局ならびに高齢・障害・求職者雇用支援機構の見解は一致しておりますので、6/1状況報告と納付金・調整金申告の常用労働者の定義は同じになります。

例えば、パートの雇用形態、6ヶ月間の雇用期間を定めた雇用契約を結んでいる方がいて、既に3回更新していれば、その方は「一年間を超える雇用実績がある」と判断され、「常時雇用している労働者の数」にカウントされます。では、アルバイトの雇用形態で、3ヶ月間の雇用期間を定めた雇用契約を結んでいる方がいて、まだ1回しか更新していない方はどうなるのでしょう?

もし本人が引き続き雇用契約の更新を希望していて、かつ会社としても1年以上働いてほしいという考えがあった場合、「一年間を超える雇用見込み」があるとされ、カウントすべきでしょう。

では以下のケースはどうなるでしょう。

「出向中」の労働者

他の企業へ出向されている方及び他の企業から出向されている労働者の内、あなたの会社から本人に対して直接賃金を支払っている方は会社が雇用している労働者として取り扱います。なお、2以上の企業から本人に対して賃金を支払っている場合は、雇用保険の一般被保険者又は高年齢継続被保険者としている事業主が雇用している労働者として取り扱います。

海外勤務労働者

外国にある支社、支店、出張所等に勤務している方で、日本国内の事業所から派遣されている方は、会社が雇用している労働者として取り扱います。

外務員

保険会社や証券会社の外交員等のように、外務員の形態で就労する方のうち、雇用保険の一般被保険者又は高年齢継続被保険者に該当する方は会社が雇用している労働者として取り扱います。

役員

取締役、理事等の役員のうち、雇用保険の一般被保険者又は高年齢継続被保険者に該当する方は、会社が雇用している労働者として取り扱います。

結論としてケースバイケースとなりますが、上記に該当する場合は常用労働者としてカウントされます。

なお会社に休職に関する制度が就業規則等に規定されており、これに基づいて雇用契約を維持しながら疾病等により休職されている方、労働者の都合によらない休業及び育児休業・介護休業など法令で規定された休業も「休職」と同様に取り扱われます。また、育児・介護のための短時間勤務制度の利用により、所定労働時間が短くなっている場合であっても、短時間勤務制度を利用する前の所定労働時間で、短時間以外の常用雇用労働者か短時間労働者かを判断されることには注意が必要でしょう。

以上、「常時雇用している労働者の数」の定義について紹介させていただきました。

障害者雇用納付金・調整金は直接会社の予算に関係してくる制度であり、また、障害者雇用6/1状況報告は行政の指導対象から始まり、雇用状況の改善が見られなかった場合は社名の公表にまで至ってしまう重大な報告手続きです。

その算定基礎の分母となる「常時雇用している労働者の数」を正確に把握することがまずは第一ステップであり、ここを履き違えてしまうと本来支払う金額より10%多く支払わなければならなくなったり、雇用計画を策定しなおしたりしなければならなくなってしまったりすることもあるかもしれません。

正しい申告のために正しい計算方法を抑えておきましょう。

(参考)
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度の概要

厚生労働省「障害者雇用率制度



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この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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