デフリンピック開催地で感じた究極のバリアフリー

Start NEXT!読者のみなさま、こんにちは。株式会社セプティメルスポーツの水上航太郎です。

 7月18日から30日までトルコのサムスンで開催された、第23回夏季デフリンピック競技大会サムスン2017を取材してきました。聴覚障がい者のオリンピックであるデフリンピック、前回2013年のソフィア(ブルガリア)大会も観戦したので、個人的には2度目の体験になります。

 日本選手団は金メダル6個、銀9個、銅12個の計27個、過去最多のメダル獲得と素晴らしい大会になりましたが、ここでは競技面ではなく開催地サムスンの様子をお伝えします。

 サムスンは黒海沿岸の港町で、人口約60万と非常に賑わいのある都市。街の歴史的背景やビーチもあることからトルコ国内では観光地として有名ですが、海外から観光客が来ることはあまり無いそうです。そんな街に世界中からデフアスリートや観客が押し寄せた物珍しさもあったのか、人々は大会に非常に興味を持っているようでした。

 街の至る所に大会ポスターが掲示されていましたし、テレビでも短いCMがよく流れていました。大会に合わせて新設されたスタジアムやアリーナもあり、そのニュースも多かったのでしょう。さらに入場料が無料だったことも味方し、アクセスの良い会場には多くの観客が集まりました。

陸上競技場に集まった地元の観客
陸上競技場に集まった地元の観客

 
 観客はもちろんトルコ人選手を熱心に応援しているのですが、それ以外の選手でも、素晴らしいパフォーマンスをすれば大きな拍手を送る場面が目立ちました。ちょうど夏休み期間ということもあり、ふらっとスポーツ観戦を楽しみに来たような家族連れも多かったです。その中で聴覚障がい者のスポーツを以前から知っていた人は皆無だったと思いますが、それでも目の前で競い合うアスリートに声援を送り楽しむ光景を見て、本質的にスポーツの楽しみ方を知っているのだろうなと感じました。

 会場以外で印象的だったのはショッピングセンター。街の中心部からは少し離れているのですが、トラムの駅が目の前にあるアクセスの良さから、いつも多くの選手の姿がありました。私もフードコートをよく利用したのですが、英語の話せない店員とのコミュニケーションはほとんど身振り手振り。それでもお互いに何とか意思疎通を図ろうとすれば何とかなるものです。

ショッピングセンター入口では大会マスコットがお出迎え
ショッピングセンター入口では大会マスコットがお出迎え

 
 ふと周りを見ると、選手達も全く同じように注文しています。料理を注文するというシンプルなことはありますが、両者の気持ちさえあれば言葉(英語や手話)が通じなくてもコミュニケーションは取れるんだなと、改めて感じることができました。

 聴覚障がいに関する知識が無くても、デフスポーツを見たままに自然に楽しむ。言葉がわからなくてもお互いに意思疎通ができる。そこにはそもそもバリアが存在していませんでした。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、バリアフリーという言葉が今後たくさん登場してくると思います。ただ、フリーにする以前に、特にソフト面のバリアに関しては、あると思い込んでいるだけでそもそも存在しないものもあるのかもしれません。そのことに気づかせてくれたサムスンデフリンピックでした。

 

20160623emori_rogo 株式会社セプティメルスポーツ
水上 航太郎
1981年札幌市生まれ。
1993年のJリーグ発足をきっかけに、スポーツ観戦がライフワークの1つとなる。サッカー好きが高じて大学卒業後にバルセロナに渡り、現地で日本向けのライター職などをしながら3年スペインに滞在。帰国後はIT関係職に就きスポーツを趣味として楽しんでいたが、2013年に株式会社セプティメルスポーツを設立し現在に至る。
趣味は旅行とスポーツ観戦。最近特に好きなスポーツはアメフト、クリケット、ボッチャ。
株式会社セプティメルスポーツ
パラタイムズ

 


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