労働と休息。このふたつのバランスは非常に大切です。帰宅してしっかり睡眠をとったり、余暇を楽しんだりすることで、心身ともにリフレッシュし、元気に働くことができます。しかし、そのような睡眠や余暇を過ごしているにもかかわらず、疲労がとれない「慢性疲労症候群」という病気があることをご存知でしょうか?
半年以上疲労が続く!? 慢性疲労症候群(CFS)とは
通常であれば、夜にしっかり睡眠をとれば、朝には、体力が回復するもの。ところが、しっかり寝ても、朝起きられないほどだるく、休日にしっかり休んでも疲れが残ってしまう……そのような状態が半年以上続く場合、慢性疲労症候群(CFS)という病気になっている可能性があります。
慢性疲労症候群(CSF)は、力が入らなくる、会話が理解できなくなってくるといった症状が見られ、微熱、筋肉痛、精神神経症状などが続き、日常生活にも深刻な影響が出てきます。そして、若い女性に多く見られるのも特徴です。
重症化すると寝たきりに!?長期の倦怠感に注意
ここでは、2013年に、慢性疲労症候群と診断された、ある女性の例をご紹介していきましょう。彼女は、小児で橋本病(慢性甲状腺炎)を発症し、ホルモン補充療法を続けていました。その後、看護師として勤務しはじめましたが、2001年に39℃台の発熱が3~4日続いたあと、徐々に体調が悪化。それがきっかけとなり、2005年頃には、休日を丸一日寝て過ごすことが増えていったようです。
2007年頃になると、腸炎を発症したのをきっかけに、さらに体調が悪化。手に力が入らない、会話が聞き取れても理解できないなどの症状が出はじめていましたが、本人は過労と考えていたようです。翌年、彼女は退職。寝たきりの状態が続き、3ヶ月ほど経った頃から、徐々に体調が回復しはじまました。
アルバイトをはじめ、2009年には、家庭事情により、正社員として就職。すると体調は、また悪くなりはじめ、2012年には、指先を上手く動かせない、腕を動かすときに痛みがあるなどの症状が出ます。しかし、整形外科、脳外科、神経外科などで行った検査に、異常は見られなかったようです。
2013年には、さらに体調が悪化したため、そのまま退職。6月に、慢性疲労症候群(CSF)と診断され、2015年には、食事・服用以外は就床状態で、入浴などには介護が必要な状態になってしまったそうです。
早めの受診と、職場としてできる配慮とは?
上記で紹介した女性は、慢性疲労症候群(CFS)の重症化について、まったく考えていなかったそうで、本人すら過労だと思い込んでしまうのが、この病のこわいところです。
はっきりした原因や治療法はまだ確立されていないものの、風邪や気管支炎などをきっかけに発症してしまうことや、神経系の炎症など、特徴的な異変が明らかになってきています。
ただの疲労や過労だと思って、このような症状を放っておいた場合、重症化につながる可能性も少なくありません。もし職場に、ずっと疲れているような人がいるようであれば、ひと声かけてあげましょう。
また、慢性疲労症候群と診断されれば、多くの場合、障害者手帳3級相当となります。公的援助などにも関わってくるため、慢性疲労症候群と診断された場合は、障害者手帳の交付を受けることを、薦めるようにしましょう。
慢性疲労症候群は、まだまだ認知されはじめている段階であり、本人ですら病気であるという自覚が難しい病気です。とはいえ、単純な疲労の蓄積であっても、業務パフォーマンスを低下させる要因となります。うつ病などの、精神障がいを含めた包括的な従業員のケアを心掛けることは、ひとりひとりの能力を最大限に発揮してもらうメリットになります。こういった病気があるということを知識として持って、従業員へのケアを見直してみてはいかがでしょうか?
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。