Start NEXT!読者のみなさまこんにちは!株式会社セプティメルスポーツの水上航太郎です。
閉幕からまだ2ヶ月も経っていないリオパラリンピックですが、なんだか随分昔のことのように感じてしまいます。改めて大会を振り返ってみると、個人的にはボッチャ団体戦の銀メダルを始め、日本初のメダル獲得となる競技、種目のイメージが強く残っていますが、皆さんはどの場面が印象的だったでしょうか?
日本以外に目を向けると、やはり中国の圧倒的な成績がインパクト大でした。中国の今大会の獲得メダルと全メダルにおける割合は、金107個(20.2%)、銀81個(15.3%)、銅51個(9.5%)の合計239個(15.0%)と驚異的です(メダル獲得数2位のイギリスは金64個、銀39個、銅44個、合計147個)。ドーピング問題で出場できなかったロシアが参加していたらここまで突出した数字にはならなかったかもしれませんが、いずれにしても中国が主役の大会になったのは事実でした。
では、なぜ中国がこれだけの成績を収められたのでしょうか。人口が多いため競技者数が多い、国策として障がい者スポーツ強化に取り組んでいる、中国全土に31のトレーニングセンターがある、エリート選手の生活を保証し競技に専念させている等々、いろいろな要因があると思います。その中でも決定的だと感じるのは、強化の「ノウハウ」がある、ということ。競技者数が多く、資金やインフラが豊富でも、それを最大限に活かすことができなければ結果にはつながりません。
そのことに気がついたのは今年3月。ボッチャの世界選手権の会場となった、北京の障がい者スポーツ・ナショナルトレーニングセンターを訪れた時のことです。
広大な敷地内には、複数の体育館やグラウンド、テニスコート、自転車トラックなどのスポーツ施設と、宿泊施設が立ち並びます。敷地の出入りには警備員にゲートを開けてもらう必要がありますし、北京郊外にあるため周囲にはほとんど何もなく、選手が集中してトレーニングを行うには良い環境のように感じました。
ボッチャ世界選手権は敷地内の総合体育館で開催されていたのですが、その入口には「北京体育大学 教育実践基地」のプレートが。これまでの指導者が持っているノウハウを、若い指導者に伝えていくことは、長期的な強化には必要不可欠なこと。このセンターが選手を強化するだけではなく、指導者も育てる場であることがわかります。
このような表面的な部分だけからでも、ノウハウや歴史を絶やさずに伝えていく仕組みを垣間見ることができた気がしました。では、伝えるべきノウハウや歴史はどこからやって来たのでしょうか。強化ノウハウは、オリンピック強化での実績をモデルにしているでしょうし、歴史面では、やはり自国開催の2008年北京パラリンピックが大きなポイントになったのではないでしょうか。
日本にも長年に渡るオリンピックやパラリンピックでの実績や経験が豊富にありますし、1964年東京、1998年長野と既に2度パラリンピックが開催されています。そう考えると、ノウハウや歴史を上手く伝えられていないことが、リオでの結果に繋がったのかもしれません。2020年東京という未来を迎えるには、過去を振り返り、蓄積された財産をしっかりと利用していくことが必要なのではないでしょうか。
株式会社セプティメルスポーツ 水上 航太郎 1981年札幌市生まれ。 1993年のJリーグ発足をきっかけに、スポーツ観戦がライフワークの1つとなる。サッカー好きが高じて大学卒業後にバルセロナに渡り、現地で日本向けのライター職などをしながら3年スペインに滞在。帰国後はIT関係職に就きスポーツを趣味として楽しんでいたが、2013年に株式会社セプティメルスポーツを設立し現在に至る。 趣味は旅行とスポーツ観戦。最近特に好きなスポーツはアメフト、クリケット、ボッチャ。 株式会社セプティメルスポーツ パラタイムズ |
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。